読み込み中...
全 11 章中 6 章
御定奇门宝鉴
遁甲の総数は本来二万一千六百局あるが、刪減を経て僅かに一千八十局のみが残され、蘭台の中に秘蔵されること久しい。太公望(姜太公)がこれを刪定して七十二局とし、張子房(張良)が再び帰納して十八局として局を作った。陰陽の二気は図盤の中に布列され、掌上に九星を排して九州の大地に対応させる。
🌐 九星が九州に対応する:天蓬星は荆州に、天芮星は冀州に、天冲星は青州に、天辅星は徐州に、天禽星は豫州に、天心星は雍州に、天柱星は梁州に、天任星は兖州に、天英星は揚州に対応する。これがいわゆる九州の分野である。
天には九星が分布して九野に及ぶ。上には八門あり、常に転移に随う。八門は八卦に対応する。開門は乾に属し、休門は坎に属し、生門は艮に属し、傷門は震に属し、杜門は巽に属し、景門は離に属し、死門は坤に属し、驚門は兌に属す。
🌓 陰陽二遁は三元を分かちて周流し布局する。順逆は三奇と六儀を排列する。冬至の後は陽遁と為し、三奇は逆布し、六儀は順布する。夏至の後は陰遁と為し、三奇は順布し、六儀は逆布する。乙・丙・丁を三奇と為す。六甲の旬首を六儀と為す——甲子は戊を統べ、甲戌は己を統べ、甲申は庚を統べ、甲午は辛を統べ、甲辰は壬を統べ、甲寅は癸を統ぶ。五日に一局を用い、一気は十五日、上・中・下の三元に分かたれる。
値符と値使は宮干の上に加臨し、方位に依りて盛衰の勢いを判断す。値符は本旬の甲が対応する九星であり、時干に随いて転移する。値使は八門の中の当値の門である。先ず六儀を排し、再び三奇を尋ぬ。陰陽二遁の法は休咎を明弁す。
盛地当に用うべきは所推の地——天乙の宮位は更に須らく疑い無かるべし。天乙とは本時旬首の甲である。若し天乙・値符・値使・九天・生門の方に背きて攻撃すれば、百戦百勝す。
🔥 九天・生門は皆吉慶と為す。強に從い弱を撃てば雄威を振るうべきなり。九天の上には兵を揚げることを得。生門に背きて死門を撃てば、必ず大勝を得。値使と九天は皆用いるべき力、攻撃すべからざる地には軽々しく動くこと莫れ。値符の方、値使の方、生門の方、天乙の方——天乙とは即ち本時旬頭の甲方、此れ五行の強き方なり。攻撃すべからず、只だ背靠すれば即ち大勝せん。
🌑 蔵伏は只だ九地に居るに宜し——九地の方は最も伏蔵に宜し。形影を見ず。即ち六癸の方なり。六合の方は路途平坦、最も逃亡に宜し。神霊は幽蔽し、逃亡の形を見ず。
☀️ 三奇の方に出づるは万事吉——三奇とは即ち乙・丙・丁なり。若し開・休・生の三吉門に合すれば、其の方に背かずして此の門より出づれば、敵に之に勝たるる必ず。宜しく至誠を以てすべし。天自ずから之を祐けん。例えば陽遁一局甲子日癸酉時にして、天蓬星の値符は六宮に加わり、休門の値使は一宮に加わり、其の下の休門と丙奇は坎に臨み、又た甲子旬首なれば、之を“三奇得使”と謂う。又た陰遁九局甲子日癸酉時、天英星の値符は四宮に加わり、景門の値使は九宮に加わり、則ち開門の下と乙奇は六宮に臨み、甲子は六に在り、之を“得使”と謂う。故に吉と為す。
生門、丙に合し六丁に加うは、天遁華蓋と為し、日(太陽)の精華に属す。開門、乙に合し丙に加うは、地遁紫微と為し、其の方最も霊験なり。休門は丁奇と前二に合すは、人遁太陰と為し、身形を隠蔽することを得。斗甲三奇は六儀の中に游び、玉女門の中には必ず吉星に遇わん。
玉女の門を知らんと欲せば、須らく六丁の所在を知るべし。譬えば陽遁一局に、地盤六丁は七兌宮に在り——甲子旬には丁卯有り、甲戌旬には丁丑有り、甲申旬には丁亥有り、甲午旬には丁酉有り、甲辰旬には丁未有り、甲寅旬には丁巳有り。陽遁九局には地盤三宮に在り。此れを玉女守門の時と為す。陰私の会合に利あり。行兵すれば必ず大勝せん。
玉女は常に干四維に居る:子の日は庚位に在り順に推し、丑の日は辛位に在り、寅の日は干位より逐みに位を移す。遁甲玉女の時は、大いに応験あり。
天門:子丑寅の三日は俱に丙上に輪じ、卯辰巳の三日は庚方に往き、午未申の三日は壬上より行き、酉戌亥の三日は甲上に居る。行軍は宜しく此の方に向かうべし。悉く恩沢を沾う。遁甲は玉女の方より行軍す。此の時陽は孟甲に合すれば内は開き外は閨じ、仲甲に合すれば半ば開き半ば閨じ、季甲に合すれば外は大いに開き内は半ば開く。陽の開くは客に利し、陰の開くは主に利す。閨ずるは即ち固守すべく、開くは即ち武を揚げ主を耀かすことを得。青龍上将の居る所の六甲を以て、各々主客の遁を分かつ。
地戸:子曰は乙に在り、寅日は庚に在り、卯辰日は丁に在り、巳日は壬に在り、午未日は辛に在り、申日は甲に在り、酉戌日は癸に在り、亥日は丙に停まる。行軍若し此の中に向かえば、秘密の陰謀の事を成すことを得。惟だ逃亡陰私の事に利あり。及び陰謀秘密、砍營破寨に利あり。即ち六己の地なり。
時に六乙を加うるは天德、雌雄を決するは正に此の中に在り。六乙の方又名けて蓬星の方と曰う。
六丙は天威無利ならず、敵は之に得て前を攻むる莫し。六丙の方又名けて明堂の方と曰う。衆を聚め營を安ずることを得。若し丙時に遇わば、征戦は宜しく遂に去るべからず——丙が火に因り、兵が金に因れば、金は火に勝つ能わざるなり。
六丁は形を潜むるは名づけて玉女と曰い、此の時征戦すれば必ず亨通せん。六丁の時は出入宜しく、攻戦は便利、刃の臨むと雖も且つ驚かず。丁は星奇と為し、玉女の時と為す。三奇の霊、六丁の陰、故に六丁の下は潜伏に宜しく、其の形を見ず。
六戊は龍に乗り奇と合す、遠くに出で兵を揚げれば寇戎を獲ることを得。六戊は天門と為し、亦軍門と名づく。三奇の門下に加わり軍を出だせば、百戦百勝す。又云く、龍に乗りて万里に去れば、縦え強敵有りと雖も亦其の鋒を挫かん。此れ又た天武の下、遠行して出兵すれば大勝す。
六己は天堂にして隠匿に宜し、營を偷み寨を劫かば踪を潜むることを得。六己は地戸と名づけ、隠伏・營を偷み寨を劫かうるに宜し。
六庚の時は殺気横たわり、若し攻撃すれば禍は先ず逢わん。此の位は只だ獄を安じ禁ずるに宜しく、更に刑を行い斬を下すの中に好し。六庚は天獄の方と為し、刑罰を行うに宜し。経に曰く:“時に六庚を加うれば、木を抱きて行くが若く、出づる者有らば、必ず争闘を見ん。百事不可なり。”
六辛にて師を行うは多く陣を失い、将に容易に兵を引き行かしむる莫し。慎んで此の道に兵を発すること莫れ、出づる者は須らく死人を見しめん。六辛の時は名づけて天庭と曰い、貯えの儲の備え・軍儲を穩むる・罪を判じ事を治むるに宜しく、余は用いる無し。軍を出だせば必ず兵を損せん。
六壬の地は凶咎多く、若し施為有らば必ず兵を損せん。六壬の方天牢と為す。囚を撃ち鼓を安んずべきのみに宜しく、余に所用無し。若し兵を用いれば必ず敗れん。
時に六癸を加うるは天網と為す、惟だ逃亡に利ありて征戦に利あらず。六癸は天蔵華蓋と為す。軍を遁れ寇を避け、兵を伏せ逃亡せんことに宜し。
青龍返首——甲、丙に加う:陽遁一局丙寅時、天蓬星は八宮に加わる。天上六甲は地下六丙に加わり、百事大吉。
丙、甲に加うるは鳥跌穴:陽遁一局癸酉時、天任星は一宮に加わる。天上六丙は地下甲子に加わる即ち是なり。更に若し生門に従いて死門を撃たば、必然大勝して功名を立てん。
時に六甲を加うるは開閨と言う:六甲は同じく用うと雖も相同じからず。陽遁は開に利し、陰遁は閨に利す。陽星の開く時は攻戦も吉、陰星の閉閨するは所為凶。蓬、任、冲、輔、禽は陽宿と為し、英、芮、柱、心は陰気重しと為す。
| 六甲 | 別名 | 陽星に合すれば利 | 陰星に合すれば利 |
|---|---|---|---|
| 甲寅・甲申 | 孟甲 | 門盈ちて出入し難く、惟だ隠匿に宜しく鋒に当たる莫かれ | 城寨を固守す。謀計成らず、出入すべからず |
| 甲子・甲午 | 仲甲 | 陽内に在り。堅く守り兵を蔵して主自ら雄と為す | 開格。宜しく固守し自ら勝つべし |
| 甲辰・甲戌 | 季甲 | 陽外に在り。兵を揚げて大功を立つることを得 | 主に利し、主大敗す |
天輔星に合すれば兵を揚げて先ず起こすに利あり、天禽星に合すれば後に起こして応ずることを得。天任星に合すれば城を破るに利あり、天蓬・天柱・天芮に合すれば城池を固守することを得、兵を挙げ行動すべからず。
朱雀投江——丁、癸に向かう:天上六丁、地下六癸に加わる。大凶。
螣蛇夭矫——癸、丁に加う:天上六癸、地下六丁に加わる。大凶。此の時に遇えば凶悪甚だしく、奇門に倚りて錯えて兵を用うる莫かれ。
六乙、辛に加うれば龍逃走と為す:陽遁四局乙未時、天柱星は三宮に加わる。天上乙奇、地下六辛の兌に在るに加わり、此れ大凶なり。
六辛、乙に加うれば虎猖狂と為す:陽遁二局辛巳時、天上六辛、地下乙奇の坎一宮に在るに加わる。白虎猖狂と名づく。縦え奇門に遇うと雖も亦用い難く、且つ須らく消停して倉忙なる莫かれ。
伏干格:六庚、今日の日干に加わるを伏干格と名づく。主に利あらず。
飛干格:今日の日干、六庚に加わるを飛干格と名づく。主に利あり客に利あらず。
伏宮格:天上六庚、地盤の値符に加わる。主に利あらず、客の勝つのに宜し。又た“太白天乙に格(あ)たる”と名づく。主将は今朝定んで途を失わん。天上六庚を太白と為し、兵器を主る。庚、今日の値符天乙に加われば、主は則ち散じ尽さん。
飛宮格:値符、六庚に加わる。客利あらず、軽んじて謀る莫かれ。又た“天乙太白に格(あ)たる”と名づく。若し師を陳(つら)ねる有らば主将亡びん。陰遁九局庚午時、天英は天乙と為り、地下六庚の七宮に在るに臨む。客に利あらず。先に攻むる者は敗れ、固守する者は勝つ。
天乙庚に臨み戦えば野に敗れて精兵亡ぶ:天乙、六庚に加わる。或いは庚、天乙に加わる。是れ貴人が兵に臨む格なり。固守するに宜しく吉。
太白復た天乙の位に臨む:六庚、天乙に加わる。是れ太白の復臨なり。若し天乙と六庚と同宮せば、之と戦えば必ず敗れん。
太白入螢——庚、丙に加う:陽遁一局丙戌時、天上六庚、地下六丙に加わる。主客俱に利あらず。
螢入太白——丙、庚に加う:陽遁一局丙寅時、丙、庚に加わるは則ち不吉。賊来たらんことを占えば、金、火に入れば則ち賊必ず来たり、火、金の郷に入れば則ち賊必ず退かん。
刑格——庚、六己に加う:天上六庚、地上六己に加わる。是れ金能格なり。若し此の時を用いれば、則ち車摧け馬死し、士卒皆亡びん。
天地大格——庚、癸に加う:天上六庚、地下六癸に加わる。庚は兵の厲気と為し、癸は万物の形を藏す。故に用いること可からず。
悖格:丙、今日の干に加わるを悖と名づく。丙は悖と為し、庚は格と為す。丙は威と為し、日干に加うるは不顺の象にして、皆悖乱の道なり。年月日時の干に加うるも皆悖乱と為す。故に用いること可からず。
五不遇時:時干、今日の干を克し、時支、今日の支を克す。名づけて損明時と曰う。凡事用いること無し。甲乙日庚辛時、亥子曰戌辰時、寅卯日申西時、巳午日亥子時の類の如し。天乙星は紫微宮の外に在りて天帝の垣と為す。戦伐に宜しからず、最も凶。
六儀撃刑:
| 旬首 | 加宮 | 刑 |
|---|---|---|
| 甲子 | 三宮に加う | 子卯を刑す |
| 甲戌 | 二宮に加う | 戌未を刑す |
| 甲申 | 八宮に加う | 申寅を刑す |
| 甲午 | 九宮に加う | 午午を刑す(自刑) |
| 甲辰 | 四宮に加う | 辰辰を刑す(自刑) |
| 甲寅 | 四宮に加う | 寅巳を刑す |
相刑するは事事皆凶なり。
三奇入墓:乙奇入墓——乙は木に属し坤に加うるに宜しからず。木の墓は未に在り。丙丁奇入墓——丙丁は火に属し干に加うるに宜しからず。火の墓は戌に在り。切に用いるべからず。凶傷特に甚だし。
伏吟と反吟:蓬、蓬に加うるを伏吟と為し、蓬、英に加うるを反吟と為す。本宮星、本宮星に加うるを伏吟と為し、本宮星、対宮星に加うるを反吟と為す。乃ち悖逆の道なり。
微を搜め妙を剔る神通の訣、以て将軍を輔けて太平を定む。
遁甲隠公歌の核心は、天地時空の格局を操作可能な行動指針に転化する点にある。それは完全な象徴体系を構築している。九星は天の力に、八門は地の門戸に、三奇六儀は時空の枢機になる。体系全体は“主客・陰陽・開閨・順逆”という四つの核心範疇を軸に展開し、いつ動くべきか、いつ静かにすべきか、どの方角に進むべきか、どの方角で守るべきかを判断することを目的とする。
その根本原則は以下のように帰納できる:
現代的な文脈において、遁甲隠公歌の実質はひとつの時空選択とリスク管理のモデルである:
現代への応用は、「仮説—行動—検証(レビュー)」の意思決定チェックリストとして変換できる:
遁甲隠公歌の深い哲学的意蘊は「天時は違うべからず、人事には為すべき有り」という点にある。宇宙に人力を超えた秩序やリズムの存在を認めつつも、運命論ではない。格局を知った上で、人間は「選択」として、流れに沿うか、あるいは流れに逆らって守るかを選べるのである。この思想はストア派の「コントロールできることとできないことを区別する」という考え方と通じるところがある。
もう一つの重要な観念は「形と隠(かくし)」の弁証法である。奇門体系は「現れているもの」(天盤・開方)を重視するのみならず、「隠されているもの」(九地・六癸・玉女門)を極めて重視する。これは古人が、ある種の局面においては「行動しないこと」自体が最高の行動であることを深く理解していたことを示唆している。