全 39 章中 22 章
五行大义
子産はかつて「声は五声として顕現することができる」と言った。蔡伯喈(さいはくかい)はこれを解釈して「耳で感知するものが声である。青は角声(木🌱)に対応し、白は商声(金🔩)に対応し、黒は羽声(水🌊)に対応し、赤は徴声(火🔥)に対応し、黄は宮声(土⛰)に対応する」と説明した。《律暦志》には次のように描写されている。角声は「動」の意で、陽気が萌し万物が地に触れて生じる象徴である。徴声は「祉(さいわい)」の意で、万物が盛んに繁栄する様を表す。宮声は「中和」の意で、中央に位置し四方に通達して、四声の基盤となる。商声は「章明」の意で、事物が成熟して顕現することを表す。羽声は「宇覆」の意で、万物が聚まって蔵まる、あたかも宇宙が覆うような様を表す。《楽緯》は補足して言う。春の和気によって角声が調和し、夏の和気によって徴声が調和し、季夏の和気によって宮声が調和し、秋の和気によって商声が調和し、冬の和気によって羽声が調和する。
《楽記》は指摘する。宮声は君主を象徴し、宮声が乱れれば君主は驕り荒廃する。商声は臣子を象徴し、商声が乱れれば臣子は堕落する。徴声は事務を象徴し、徴声が乱れれば事務は勤苦して悲哀に満ちる。羽声は財物を象徴し、羽声が乱れれば財物は欠乏して危うくなる。角声は民衆を象徴し、角声が乱れれば民衆は怨み憂える。五声が乱れなければ、天下は平和で、敗亡の音はない。《素問》はこれを関連付ける。木音の角声は呼び声に対応し、火音の徴声は笑い声に対応し、土音の宮声は歌声に対応し、金音の商声は泣き声に対応し、水音の羽声はうめき声に対応する。
《楽記》は強調する。音楽は声に由来し、その根本は人間の心が外界の物に感じることにある。哀しみの心が感発すれば急促な声となり、楽しさの心が感発すれば緩やかな声となり、喜びの心が感発すれば散漫な声となり、怒りの心が感発すれば粗く激しい声となり、貞節の心が感発すれば正直な声となり、愛の心が感発すれば和やかで優しい声となる。この六者は本来の性ではなく、物に感じて動くものである。声を審らかにして音を知り、音を審らかにして楽を知り、楽を審らかにして政を知れば、治める道が完備される。《詩序》は言う。声が文采を成すものを音という。治世の音は安らかで楽しげであり、政治は円滑に行き渡る。乱世の音は怨み怒りに満ち、政治は矛盾している。亡国の音は哀しみに満ち、民衆は困苦している。
《大戴礼・観人篇》は云う。内心が誠実であれば必ず外に顕れる。外を通じて内を占い、微細なところから大局を見る。声はその実像を象り、気が初めて物を生み、物が生まれれば声があり、声には剛柔・清濁があり、好悪は全て声に発する。心気が誇大ででたらめな者は声が散漫で流れ、心気が順良で誠実な者は声が節に従い、心気が鄙びて荒々しい者は声が腥く醜く、心気が寛容で柔和な者は声が温和である。聖人は声を聴き色を観て、人の善悪を知る。単独で発するのが声、調和したものが音である。《毛詩序》は声が文を成すものを音と言うと説き、故に五声から八音が派生する。《楽緯》は説明する。物は三によって成り、五によって立つ。三と五を合わせて八となる故に音に八がある。八音とは、金、石、糸、竹、土、木、匏、革であり、これらを用いて宮・商・角・徴・羽を発する。金は鐘、石は磬、糸は弦、竹は管、土は壎(けん)、木は柷圄(しゅくご)、匏は笙(しょう)、革は鼓である。鼓は震卦を主り、笙は巽卦を主り、柷圄は乾卦を主り、壎は艮卦を主り、管は坎卦を主り、弦は離卦を主り、磬は坤卦を主り、鐘は兌卦を主る。
《楽緯・汁図徴篇》に詳述する。坎卦は冬至を主る。宮声は君の象であり、君がいれば万物は成る。黄鐘の宮は万物を調え、天下を正しく整える。天地と儀を共にし、神明と徳を合わせることができる者は、七始八終それぞれ相応しく、天子は穆穆として、四方は始めを取る。故に楽は管を用いる。艮卦は立春を主る。陽気が初めて出で、雷は百里を動かす。聖人は田百畝を授け、これ天地の分なり。黄鐘の度は九、八音を調える。聖人は九頃をもって八家を成し、優れた農は九口を養い、中は七口、下は五口を養い、富める者は奢侈せず、貧しき者は飢えず、三年で一年の蓄えを余し、九年で三年の蓄えを余す。黄鐘は消息の和を成す。故に楽は壎を用いる。震卦は春分を主る。天地の陰陽は均しく分かれる。聖王は天に法り、五均を立てる(六律が五声の均を調える)。音は衆声を五とする。物は蕃り、均は五となる。富める者は貧しきを慮り、強き者は弱きを侵さず、智者は愚者を欺かず、市に二価なく、万物は同じく均しく、四時は相応しく得られ、公家に余りあり、恩恵は天下に及び、天地と同徳。故に楽は鼓を用いる。巽卦は立夏を主る。万物の長短には差がある。聖王は天に法り事を授け、尊卑に等あり。士は義を譲り礼あり、君臣に差あり、上下に序あり、治道行わる。故に楽は笙を用いる。離卦は夏至を主る。陽が下り、陰が物を成す。聖王は天に法り衣服の制度を授け、礼義を明らかにし、貴賤を顕わす。徳を灯明し、度を率いる。女工に差あり、男行に礼あり。故に楽は弦を用いる。坤卦は立秋を主る。陽気が陰に入り事を用い、昆ま虫蠢は蛰せんと欲す。聖王はこれに法り、宮室度量を授け、章制は宜しき有り、大小は法有り、貴賤は差有り、上下は順有り。故に楽は磬を用いる。兌卦は秋分を主る。天地万物の功、已に定まる。聖王は天に法り爵禄を定め、其の能を過ぎず。宮は君、商は臣、臣は君の功を章らかにする。尊卑に位あり、物に宜しき有り、功なれば賞し、敗なれば罰す。故に楽は鐘を用いる。乾卦は立冬を主る。陰陽終始し、万物は死して復た蘇る。聖王は天に法り、刑法を制し、一を誅して千を動かし、一を殺して万を感ぜしめ、死する者恨みず、生くる者怨みず。故に楽は柷梧を用いる。
《国語》に言う。瓦糸の琴瑟は宮声を尚び、鐘金は羽声を尚び、石は角声を尚び、匏竹は徴声を尚び、革木は商声を尚ぶ。呂は以て楽を和し、律は以て声を平らかにす。金石はこれを動かし、糸竹はこれを行い、歌はこれを咏い、匏はこれを宣しくし、瓦はこれを賛し、革木はこれを節す。物が其の常を得るを楽といい、奪う所あるを撃と言い、互いに保つことを和といい、細大逾えざるを平と言う。瓦糸は皆大なり、故に宮を尚ぶ。子母相応ずるなり。鐘金は羽声を尚ぶ。これも亦同じ。石は角声を尚ぶ。石・金と角とは牝杜相和す。匏土竹木は徴声を尚ぶ。子母相応ず。革木は俱に角、商声を尚ぶ。牝杜相和す。宮声は和らぎ舒び、博く柔らかに脾を動かす。商声は散らかり明らかに、温かく虚しく肺を動かす。角声は防ぎ節し、静かに清らかに肝を動かす。徴声は敗や疾く均しく、平らかに心を動かす。羽声は疾く虚しく、短く散らかり腎を動かす。
《黄帝兵决》に云う。両敵まさに向かわんとする時、人をして敵營より一百二十歩を去らしめ、管を以て耳に注ぎて声を聴く。隆隆として車雷鼓の声の如くなるを聞くは、宮なり。其の将は寛和にして信あり。金石、轟き撃つこと鐘磬霹靂の如くなるを聞くは、商なり。其の将は威怒にして殺を好み、数(しばしば)忿(いか)るに宜し。奔馬・炎炮・掣裂の如くなるを聞くは、徴なり。其の将は猛烈にして勇敢、争鋒し難し。粛粛として木の人を愁する声の如くなるを聞くは、角なり。其の将は仁恕にして欺くべからず。滔滔として流氷水揚波激気笑の如くなるを聞くは、羽なり。其の将は貪冒にして多きに奸謀あり。この五声を審らかにして敵の性を知る。風声を候うも亦同じ。これらは皆、音声の様子を論ずるが故に、備えて釈す。