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全 33 章中 27 章
神农本草经
全体意訳
本段は『神農本草経・木(下品)』に収載される17種の薬物の条項を整理したものである。原文は条項形式であるため、原文の順序に従って逐一意訳する。以下の「主治」はすべて古人の経験的記載であり、伝統文化の研究のみを目的とし、現代の用药根拠を構成するものではない。
巴豆 🌿 味は辛、性は温。古人は、傷寒、温瘧、寒熱の往来を主治し、症瘕結聚(腹内の積塊)・堅積・留飲(停滞する水飲)・痰癖を破り、腹大なる水腫を取り除くと考えた。五脏六腑を宕涤し、閉塞を開通し、水穀の道を通利し、腐敗した悪濁の物を除去する。また古代に称する「鬼毒」「蛊注」などの邪毒にも用いられ、虫魚をも殺す。又名は巴叔といい、川谷に生ずる。後世の注文の補足:一名を巴菽といい、巴郡に生じ、八月に採り、陰干しし、心と皮を去る。
蜀菽(すなわち蜀椒) 🌿 味は辛、性は温。古人は、邪気による咳逆を主治し、中を温め、骨節・皮膚の死肌を逐除し、寒湿痹痛を治療し、また気を降ろすと考えた。また、久服すれば髪は白くなず、身体は軽健となり、寿命を延ばすと記される。川谷に生ずる。後世の注文の補足:一名を巴椒・蓎藙といい、武都及び巴郡に生じ、八月に実を採り、陰干しする。
皂荚 🌿 味は辛・咸、性は温。風痹・死肌・邪気・風邪による頭痛・流涙を主治し、九竅を通利し、いわゆる「精物」を駆除する。川谷に生ずる。後世の注文の補足:壅州及び魯鄒県に生じ、形が猪牙の如きものが良く、九月・十月に採り、陰干しする。
柳華(柳絮) 🌿 味は苦、性は寒。風水黄疸、顔面の熱黒を主治する。一名を柳絮という。その葉は馬の疥癬、痂瘡を治し、果実は潰瘍を治し膿血を排膿し、子の汁は渇きを止める。川沢に生ずる。後世の注文の補足:琅邪に生ずる。
楝実 🌿 味は苦、性は寒。温疾傷寒、大熱煩狂を主治し、三虫を殺し、疥瘍を治し、小便の水道を利する。山谷に生ずる。後世の注文の補足:荆山に生ずる。
郁李仁 🌿 味は酸、性は平。大腹水腫、顔面・四肢の浮腫を主治し、小便の水道を利する。その根は歯肉の腫れ、虫歯を主治する。一名を爵李という。川谷に生ずる。後世の注文の補足:一名を車下李・棣といい、五月・六月に根を採る。
莽草 🌿 味は辛、性は温。風による頭部の痈腫・乳癰・疝瘕を主治し、結気・疥癬のかゆみを除き、虫魚を殺す。山谷に生ずる。後世の注文の補足:一名を春草といい、上谷及び冤句に生じ、五月に葉を採り、陰干しする。また、魚を毒するのに用いられると記す。
雷丸 🌿 味は苦、性は寒。三虫を殺し、毒気を逐い、胃中の熱を清ます。古人は、男子を利して女子を利さずと考え、摩膏と作り、また小児の百病を除くと言う。山谷に生ずる。後世の注文の補足:一名を雷矢・雷実といい、石城及び漢中の土中に生じ、八月に根を採り、暴干しする。
桐葉 🌿 味は苦、性は寒。悪蝕、陰部の潰瘍を主治し、五痔を主治し、三虫を殺す。その花は猪の瘡に塗ることができ、猪に飼えば三倍に肥える。山谷に生ずる。後世の注文の補足:桐柏山に生ずる。
梓白皮 🌿 味は苦、性は寒。熱証を主治し、三虫を去る。その葉は擂り潰して猪の瘡に塗り、猪に飼えば三倍に肥える。山谷に生ずる。後世の注文の補足:河内に生ずる。
石南 🌿 味は辛・苦。腎気を養い、内傷・陰衰を治し、筋骨・皮毛を利することを主る。その実は蛊毒を殺し、積聚を破り、風痹を逐うことができる。一名を鬼目という。山谷に生ずる。後世の注文の補足:華陰に生じ、二月・四月に実を採り、陰干しする。
黄環 🌿 味は苦、性は平。蛊毒・鬼注・鬼魅・臓腑中の邪気を主治し、咳逆寒熱を除く。一名を凌泉、一名を大就という。山谷に生ずる。後世の注文の補足:蜀郡に生じ、三月に根を採り、陰干しする。沈括は即ち紫藤であると考える。
溲疏 🌿 味は辛、性は寒。身の皮膚中の熱を主り、邪気を除き、遺尿を止め、浴湯とすることができる。山谷及び田野の故丘墟地に生ずる。後世の注文の補足:一名を巨骨といい、能耳山に生じ、四月に採る。
鼠李 🌿 原文には性味を載せず。寒熱・瘰癧・瘡を主治する。田野に生ずる。後世の注文の補足:一名を牛李・鼠梓などといい、採るに時なし。
薬実根 🌿 味は辛、性は温。邪気、諸痹の疼痛酸痛を主治し、絶傷を続ぎ、骨髓を補うことができる。一名を連木という。山谷に生ずる。後世の注文の補足:蜀郡に生じ、採るに時なし。
欒華 🌿 味は苦、性は寒。目の痛み・流涙・眼角の損傷を主治し、目の腫れを消す。川谷に生ずる。後世の注文の補足:漢中に生じ、五月に採る。
蔓椒 🌿 味は苦、性は温。風寒湿痹・歴節疼痛を主治し、四肢の厥気・膝痛を除く。一名を家椒という。川谷及び丘塚の間に生ずる。後世の注文の補足:一名を猪椒・彘椒・狗椒といい、雲中に生じ、茎と根を採り煮て、酒を醸す。
以上の木部・下品は合わせて17種。旧本には18種を列してるが、今は芫花を草部に移す。
三品分類における「下品」の位置づけ: 『神農本草経』は薬物を上・中・下の三品に分類する。下品は多く「邪を攻め」「病を治す」もので、薬性は峻烈で、有毒のものが多く、久服すべきではない。本段の木部下品はまさにこの思想を体現している:巴豆・莽草・雷丸・黄環などは、多くが堅を攻め、水を逐い、虫を殺し、積を破る品である。
辛温と苦寒の二つの主線: 本段の薬物の性味はおおよそ二類に分けられる。 一つは辛温類であり、巴豆・蜀椒・莽草・薬実根・蔓椒のように、多くは走竄し、寒を散じ、湿を逐い、結を破る。 もう一つは苦寒類であり、柳華・楝実・雷丸・桐葉・梓白皮・欒華のように、多くは熱を清め、湿を燥し、虫を殺し、通利する。 これは「寒者は之を熱し、熱者は之を寒し、実者は之を瀉す」という基本思路を体現している。
「通をもって用と為す」攻邪観: 巴豆は「閉塞を開通し」「水穀の道を利し」、郁李仁は「小便の水道を利し」、皂荚は「九竅を利す」。これらは下品薬がしばしば汗・吐・下・利などの経路を通じて、邪気に出口を与えることを示している。古人は、顽固な水腫・積聚・痹痛などは、強力な攻逐の力が必要で、はじめて解除できると考えた。
主治が頑固・急重の証に集中: 本段に共通して見られる主治は、水腫・積聚・痹痛・虫積・痈瘍・蛊毒などである。これらは古代においては多くが難治・急重な病証であり、そのため峻烈な下品薬を選用し、「重病には重薬を用いる」という思路を体現している。
多くは峻烈・有毒の品であり、軽んじて用いるべからず: 現代の研究により、下品薬の一部は確かに毒性または強い活性成分を含むことが確認されている。例えば巴豆は巴豆油を含み、内服すれば激しい下痢を引き起こすため、厳格な炮製と用量管理が必要である。莽草・黄環などは毒性があり、現在はあまり用いられないか、外用のみである。雷丸はプロテアーゼ成分を含み、特定の寄生虫に一定の作用があるが、古法のような「摩膏を作る」「小児の百病を除く」というのは現代の根拠を欠く。
「鬼毒・蛊注・邪物を殺す」などは古代の素朴な認識に属する: 「鬼毒」「蛊注」「鬼魅」などは、古人が伝染性・精神性・頑固な疾病に対して行った素朴な分類であり、字面通りに迷信と解釈すべきではない。現代医学にはより精確な病因学的説明がある。
「久服軽身増年」「猪を飼えば三倍に肥える」はそのまま採用すべからず: 蜀椒の「久服して髪白からず、軽身して年を増す」は古代の養生願望であり、現代の養生根拠とすべきではない。「猪を飼えば三倍に肥える」は誇張された獣医学的経験の記載である。これらの内容は理性的に看待すべきである。
名実と伝写上の問題: 例えば蜀菽はすなわち蜀椒であり、莽草は八角茴香ではなく、誤食中毒を防ぐために厳格に区別する必要がある。黄環は紫藤類の可能性があり、異論がある。これらは本草を研読する際には、必ず現代の植物学・薬学の知識と組み合わせて弁別する必要があることを示している。
関連概念: 三品分類、四気五味、以通為用(通をもって用と為す)、汗吐下法(汗・吐・下の治法)、炮制、虫積、蛊毒の古病名。
発展閱讀: 『神農本草経・序録』の三品及び七情合和に関する論述、『本草綱目』木部の関連条項、『傷寒論』『金匱要略』における巴豆の製剤、例えば三物備急丸・桔梗白散(ただし理法の研読のみで、自ら調合してはならない)、雷丸・蜀椒など後世の本草における論述。
ブカ注意:本内容は中医の古典籍に基づくものであり、伝統文化の学習と研究のためにのみ提供される。いかなる医療診断・用药・治療の助言を構成するものではない。不快な症状がある場合は、速やかに医療機関を受診のこと。